山田耕作童謡100曲集

45 郵便くばり   北原 白秋    

郵便くばりが来るころは

 唐黍畑の入日どき

つくつくほうしも鳴き立てる

 

郵便くばりの来る影は

 いつでもぽっつり 山のすそ

帽子のひさしが光ります

 

郵便くばりの来る道は

 さやさや黍の葉 紅い房

両手をふりふり まゐります

 

郵便くばりの をぢさんは

 いつもの鞄で 青い鬚

お鬚の中から笑ってる

 

郵便くばりは 日に一度

 唐黍畑の入日どき

「はい はい 坊や またあした」

 

郵便くばりは待ち遠い

 つくつくほうしよ まだ来ぬか

誰かの手紙が 来はせぬか

 

耕 作 百 言

 聲音の陰影に於いて、音色に於けるものは、恰も繪畫の色調の濃淡と匹敵

すべきものであり、聲量に於けるものは、彫刻の凹凸による明暗と比較する

ことが出来る、彫刻の凸部は音樂の謂ふ所の強音(フォルテ)であり、凹部は

云うまでもなく弱音(ピアノ)である。